こんにちは。かんしょくキッチン管理者のぶおです。
今回は「鯉(コイ)」についてお話しします。
コイは河川、湖、用水路など様々な場所に生息する淡水魚です。
繁殖力が強く、どんなものでも餌にして捕食して、旺盛な生命力を持っています。
錦鯉と呼ばれる観賞用の鯉もいますが、食用とされるマゴイ、ノゴイは、池の水が凍り始める冬場に旬を迎える淡水魚です。
鯉(コイ)「잉어[インオ]」名称の由来
日本語 | 韓国語 |
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鯉(コイ) | 잉어[インオ] |
鮒(フナ) | 붕어[プンオ] |
鯖(サバ) | 고등어[コドゥンオ] |
イカ | 오징어[オジンオ] |
日本語で「鯉」という名称ですが、
『和字正濫鈔』(1693)によると、コイの味が良いため、人々が「恋い慕うもの」
『和訓栞』(1777~1877)によると、雄雌相愛して離れない恋
『日本釈名』によると、鯉の身が肥えているところから、「肥え」が「コイ」に変わったなどの諸説があります。
韓国語でコイのことを「잉어[インオ]」と、いいます。
漢字で日本語同様「鯉魚」と、表記します。
韓国語の漢字音でそのまま読むと[イオ]ですが、
フナを「붕어[プンオ]」、サバを「고등어[コドゥンオ]」、イカを「오징어[オジンオ]」
と、よぶように「魚」の漢字音が現在では[オ]に近い発音ですが、かつては [ンオ]のような発音だったことが考えられます。
鮒(フナ)についてはこちらの記事をどうぞ
ところで、日本では5月5日のこどもの日が近づくと自宅の庭に鯉のぼりを揚げる風習があります。
古来中国では、急流の滝を登り切ったコイは、登龍門をくぐり天まで昇って龍になるという言い伝えがありました。
この概念が日本に伝わり、江戸時代の武家では、子弟の出世のために旧暦の5月5日頃になると庭先に鯉のぼりを揚げる風習がありました。
明治時代以降、鯉のぼりは一般庶民にも全国的に普及します。
青い空にこいのぼり。いいですね。
鯉(コイ)「잉어[インオ]」の効能
コイにはタンパク質、不飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミンB群が豊富に含まれていて、消化吸収がよい魚です。
16世紀末、明の李時珍によって編纂された史上最も有名な本草学書『本草綱目』の中で
茹でたコイを食べると、むくみがおさまり、利尿効果がある。揚げたコイは、喘息の症状に効き、出産後の女性は母乳がよくでるようになり、重湯にして炊くと下痢の症状を止める効果があると、記されています。
ちなみに『本草綱目』は、1607年に林羅山が長崎にて入手して、徳川家康に献上され、後に徳川家康は本草研究を推進する契機となります。
日本でコイは、肉食が普及する19世紀末以前まで、特に海の魚介類を入手しにくい山間部の地域では貴重な動物性タンパク源でした。
そして、コイは慶事、祝事の席で出されるごちそうでしたが、食生活の変化から年々、需要が激減してしまいます。
昔と比べて、コイを扱うお店もあまり見られなくなりましたが、現在でも福島県、長野県、岐阜県、広島県などでは鯉料理を伝承しています。
日本にはコイを使った料理として、鯉こくが有名ですが、鯉こくに似た料理が韓国にもあり、「잉어된장국[インオテェンジャンクk]」と、いいます。
一般的に魚を下ごしらえする場合、魚の腸を取り除きますが、コイの卵巣や肝臓は味が良いと評判が良く、そのまま煮込みます。
ただし、肝臓の裏にある黒味がかかった楕円形の胆嚢は取り除きます。
コイの胆嚢は、苦みが強く、潰してしまうと他の臓器にも苦みが移るだけでなく、胆汁酸という成分から構成されていて、摂取すると下痢や嘔吐、肝機能障害などの症状を引き起こす原因になります。
一方で、コイの胆嚢は「鯉胆」と呼ばれ眼精疲労に効く生薬があります。
鯉(コイ)には体によい栄養素がたくさん入っています。
なかなか食べる機会は少ないですが、機会がありましたら是非食べてみてください。
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